食品に関連する業界で働いている方なら、「FSSC22000」という規格について耳にしたことがあるのではないでしょうか。
今回はこのFSSC22000について、①どのような認証規格か、②どのようにして認証を取得するか、③認証取得のためにできる「記録管理」の取り組みについて紹介します!
目次
FSSC22000とは?
FSSC22000は、消費者に安全な食品を提供することを目的とした、品質マネジメントの規格です。
グローバル・フード・セーフティー・イニシアチブ(GFSI)※によって食品安全の認証規格として承認されており、この認証を取得することで工場内の食品安全に関するマネジメントが徹底されていることを対外的にPRできます。またFSSC22000は国際的にも認められた規格であるため、海外市場に対しても自社製品の信頼性を広くアピールできます。
※世界規模で食品安全に対する改善活動をしている非営利団体。
ISO22000、HACCPとの違い
FSSC22000は、元々食品安全マネジメントの規格としてあったISO22000の内容がベースとなっています。そこに食品関連事業向けの前提条件プログラム「ISO/TS22002」と、FSSC22000独自の追加要求事項が合わさったものがFSSC22000です。
・・・それぞれ名前も似ていてすこしややこしいですね。上で説明したそれぞれの内容について関係性を図にまとめてみました。
①ISO22000:国際標準化機構(ISO)が定める食品安全のマネジメントシステムに関する国際規格
②ISO/TS22002:食品安全衛生上のハザードを減らすための前提条件(5Sなど)を定めた国際規格
③追加要求事項:FSSC22000において①②とは別に別途求められる食品安全要件
少し乱暴な説明をしてしまうと、ISO22000で求められる内容だけでなく、それにプラスアルファの要求事項も満たす必要があるのがFSSC22000ということになります。基準が厳しい分、認証を取得できれば食品安全に関して非常に高い信頼を得られる点がメリットです。
ちなみに同じく食品安全に関してよく耳にするものとしてHACCPがありますが、こちらはFSSC22000やISO22000のような規格というわけではなく、安全衛生管理を実現するためのあくまで手法、方法という立ち位置なので、それ自体に認証制度があるわけではありません。
認証を取得するには
FSSC22000の認証を取得するには相応の準備と時間が必要です。
FSSC22000の審査には2段階ありますが、まずはその前に以下の内容で準備を進めていきましょう。
チームの編成~システム構築
まずはFSSC22000認証取得に向けたマネジメントシステム構築を担当するチーム/事務局を組織し、そのチームを中心にマネジメントシステム準備を進めていきましょう。審査までのスケジュールを立て、その中で現状の運用から改善が必要な点を洗い出し、必要な規定づくり、文書や帳票の作成などを行っていきます。
マネジメントシステムの基礎ができたら、内部監査やマネジメントレビューを通して、システム運用の検証、改善を継続していきます。
2段階の審査
先に記載した通り、審査には2段階あります。第1段階の審査ではマネジメントシステムがきちんと構築されているかがチェックされ、続く第2段階の審査では、システムが正しく運用されているかが審査対象となります。業務プロセスが見える化されているか、食品安全計画がきちんと手順通りに実行されているか、従業員への適切な教育がなされているかなど、様々な観点で審査が行われます。
②ISO/TS22002や③追加要求事項と現状の運用でどれだけ差があるのかをしっかり把握し、課題点を克服して審査に臨みましょう。
認証後も継続には再審査が必要
審査をクリアすると晴れてFSSC22000の認証取得です!ただし、FSSC22000は取得したあと3年ごとに更新審査が必要となります。審査は非通知である日突然実施されることになるため注意が必要です。FSSC22000は1~2年ごとに規格内容の改定が行われるため、最新の要求事項を見逃さず、定期的に運用の見直しを行う必要があります。
記録のデジタル管理で品質管理を強化
FSSC22000やISO22000へ対応した運用では、衛生的な環境づくりや、材料・製品に関するトレーサビリティが求められます。これらの運用を実現するのにあたって、衛生管理記録や製造工程内の作業日報など、上記に関連した記録(帳票類)のデジタル化が非常に有効です。
記録のデジタル化を行うことによるメリットは大きく二つあります。
記録のデジタル化メリット①:作業の正確な証跡を残せる
設備や従業員の身だしなみ、備品の状態など、工場内の衛生巡回記録をデータで残すことにより、点検結果や実施日時などを、必要な情報をすぐに呼び出すことができるようになります。点検完了後は記録をロックすることで改ざんの防止にもつながります。
衛生管理・食品安全に関する記録電子化の例
引用:食品工場の巡回点検・品質管理記録の電子化事例(イオンフードサプライ株式会社様 導入事例)
記録のデジタル化メリット②:工程間のトレーサビリティが取れる
使用原料と実際の製品のロットがデータで紐づけられるようになり、出荷済みの製品から使用原料を特定したり、逆に特定の原料が使われている工程を特定して、トラブルが発生した際速やかに稼働を停止することもできるようになります。
【受入記録】【製造日報】のトレーサビリティサンプル帳票を公開!(無料ダウンロード可)
また上記のような食品安全に関連する内容以外でも、紙帳票の保管スペースや日報の内容をシステムに転記する作業を削減できるなど、記録をデジタル化することで現場での作業負荷を大きく減らせるというメリットもあります。
現場の作業効率化も合わせて行えるため、FSSC22000へのシステム作りをきっかけに記録のデジタル化検討を進めてみるのもよいでしょう。
まとめ
FSSC22000の認証取得には非常に厳しい審査をクリアする必要があり、そのための準備も大変です。安全・衛生面に関する記録文書や帳票はデジタル化でグンと管理が楽になりますので、これから認証取得を考えている人は帳票のデジタル化も合わせて検討してみてはいかがでしょうか。
コメントを残す