投稿日

2025.05.19

更新日

2025.05.19

ヒューマンエラーとは?原因と対策10選をわかりやすく解説

Facebookでシェアする
はてなブックマークでシェアする
コメント

0

日々業務を行う中で、自分自身、または周りの人が勘違いやうっかりミス、いわゆるヒューマンエラーを起こしてしまったことが一度はあるのではないでしょうか。時には大きな事故につながったり、経営に影響を与えたりすることもあります。ヒューマンエラーはどのような職場でも発生するため、組織全体で原因を把握し、対策することが大切です。
本記事ではヒューマンエラーとは何か、その発生原因や、ヒューマンエラーを減らす対策について解説します。

ヒューマンエラーの定義

ヒューマンエラー(人的ミス)とは、人間が行う作業や判断において発生するミスや誤りのことを指します。厚生労働省の「生産性&効率アップ必勝マニュアル」によれば、職場におけるヒューマンエラーは、従業員の「認知する」「判断する」「行動する」「記憶する」機能が適切に働かず、業務においてミスが生じる現象とされています。

ヒューマンエラーの具体例

  • 見間違いでデータ入力をミスしてしまい、誤った発注を行ってしまう
  • 機器の操作ミスにより、不具合のある製品を生産してしまう
  • 業務の全体像を把握しておらず、正しい判断ができない
  • 予定を勘違いしてしまい、会議を欠席してしまう
  • ダブルチェックを省いてしまい、出荷ミスが生じてしまう
  • 報告/連絡/相談を怠った結果、問題が大きくなってしまう

ヒューマンエラーの種類

ヒューマンエラーの分類は大きくは2つに分けられ、「ついつい・うっかり型」と「あえて型」があります。「ついつい・うっかり型」は4種類に分けることができます。

ついつい・うっかり型(意図しない行為)

無意識の行動により引き起こされるヒューマンエラーのことで、本人に悪意や意図がなく、注意不足や習慣的な行動によって「つい」「うっかり」起きてしまうものです。多くのヒューマンエラーはこの型に分類されます。

覚えていない、思い出せない「記憶エラー」、聞き間違え・見間違えの「認知エラー」、どのような状況か、何をすればよいかの判断を誤る「判断エラー」、方法や手順を間違える「行動エラー」があります。

なお、すべてのエラーの共通内容として、長時間労働・重労働が続く、過度なストレスがかかるといった場合には、従業員の疲労がたまることで注意力の低下によるミスが引き起こされることもあります。

あえて型(意図的行為)

慢心や自己顕示欲により、ルールを守らず手抜きをする・横着することで起こってしまうヒューマンエラーです。効率を優先したり、過信や慣れから「大丈夫だろう」と判断してしまうことが原因です。設定されているルールに対しての納得不足、守る意識が低下している場合に生じるヒューマンエラーもこちらに該当します。

ヒューマンエラーは重大な事故を引き起こす可能性があるため、対策を講じる必要があります。

ヒューマンエラー対策10選

対策を考える上では、ヒューマンエラーが発生する構造を把握することが重要です。様々な対策がある中で、実践がしやすい対策を厳選してご紹介いたします。説明と合わせて、各対策の詳細を説明した関連記事も掲載しております。自社で取り組みたい対策がございましたら、ぜひ関連記事も参考にご覧ください。


1. 標準作業手順書(SOP)の整備と見直し

作業を標準化することで、「誰がやっても同じ品質・手順」を実現します。チェックリスト付きや図解付きにすると理解度が高まります。昨今の人手不足やノウハウ不足により十分に作業手順書を活用ができていない、もしくは作成できておらず作業者の勘や記憶に頼っている状況も多いかと思いますが、ヒューマンエラーを発生させる要因となってしまいます。業務が多忙でなかなか作業手順書を改善できないという場合には、外部へ作業手順書制作を委託する方法も検討してください。

作業手順書の制作ならお任せ!品質の安定化・生産性向上を支援

作業手順書の運用により、安全・安心、作業効率化、品質の安定化、属人化の回避、従業員の育成などの多くのメリットが見込め、生産性の向上が期待できます。弊社は、製造業を熟知している担当者が取材・ヒアリングさせていただき、作業手順書の制作を請け負うサービスを提供しています。

続きを読む


2. ポカヨケ(ミス防止装置)の導入

人のミスを物理的・構造的に防ぐ方法です。例えば、部品の向きが違うと装着できない治具、センサーで作動条件を制限する、正しい操作が完了しないと次に進めないように制御する、異なる部品・行程を色やラベルで明確に識別する、といった内容が挙げられます。ヒューマンエラーのきっかけとなる作業者の判断に任せるのではなく、「気づかせる」より「できない」構造に、「ミスが起きない設計」を行うことが理想的です。

ポカミス・ポカヨケ解説記事

ポカミスとは、不注意・見落としなどで引き起こされるさまざまなミスを指します。一般的にも使われるケアレスミスとほぼ同義で、うっかり引き起こしてしまった、思い込んでいたが違った、などで発生するミスのことを製造業界では「ポカミス」と呼ばれています。ポカミスの”ポカ”は、もともと囲碁や将棋の用語で形勢を一気に悪くしてしまうような一手のことを指します。それが転じて、不注意や見落としにより発生してしまうミスのことをポカミスと呼ばれるようになりました。

続きを読む


3. 5S活動の徹底(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)

整った職場は注意力が上がり、探し物・取り違えといったミスも減少します。整理整頓を徹底することにより、従業員が正しい工程を遂行しやすくなり、ヒューマンエラーを防ぐことにつながります。5Sを徹底することは、ヒューマンエラー対策の第一歩です。

5Sとは?取り組む目的と5Sチェックシートを電子化するメリットを解説!

「5S」という言葉を、皆様一度は聞いたことがあるかと思います。「5S」とは、製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンです。職場だけではなく、学校といった教育現場でもポスターなどで「5S」が掲げられていることもあります。「整理(せいり)」、「整頓(せいとん)」、「清掃(せいそう)」、「清潔(せいけつ)」、「躾(しつけ)」の頭文字をとって5Sと言われており、組織として環境を綺麗に保つために用いられます。

続きを読む

4. ダブルチェック・相互確認の仕組み化

重要工程では複数人での確認をルール化することで、一人では見落としやすいミスを事前に防げます。ダブルチェックを忘れずに行うために、チェックリストやマニュアルを作成して運用するとより効果的です。ダブルチェックを行う際には、「作業者」と「確認者」の役割を明確にし、責任の所在をはっきりさせます。このダブルチェックによりチェックで発見されたミスや傾向を分析し、業務改善に活かします。

5. 指差呼称・声出し確認の習慣化

KY(危険予知)活動の一環として行われる指差呼称では、作業対象や機器に対して指差しを行い、名称や状態を声に出して確認することで意識して確認することができます。人間の目・口・手を使うことで、確認行為が形になり、ミス防止につながります。

KY活動(危険予知活動)とは?目的とKYシートの書き方、電子化のメリットまで徹底解説!

KY活動とは、建設工事や製造などの作業者が、職場・現場で発生する可能性のある全ての事故・災害を未然に防ぐために事前に行う活動のことです。「危険(KIKEN)」のK、「予知(YOCHI)」のYとローマ字の頭文字を取って「KY活動」と呼ばれています。KY活動と似た活動にKYT=危険予知訓練というものがあり、こちらは事故や災害を未然に防ぐことを目的として、その作業に潜む危険を予測して指摘しあう訓練です。

続きを読む

6. 教育・訓練の定期実施

新人教育だけでなく、ベテランにも定期的なリフレッシュ教育を行います。OJTと座学を組み合わせ、理解度チェックも行いましょう。新人や外国人労働者にも伝わりやすいように、動画マニュアルを作成することで、映像+音声により、視覚的な理解が容易、繰り返し学習が可能なため、深く理解しやすくなります。

7. 作業者の体調・心理状態の管理

先述にも合った通り、「ついつい・うっかり型」のすべてのエラーの共通内容として、疲労やストレスが蓄積すると判断力や注意力が低下します。単純に休憩回数を増やすだけではなく、「休憩の質」や「労働時間の適正管理」もヒューマンエラー対策の一環です。心理状態の管理として、定期的な1on1を実施し場合によっては負荷分散を行うことも検討する必要があります。

8. 作業ミスの記録・分析と再発防止

ミスをそのままにするのではなく、記録・分析を行って「なぜ起きたか?」を可視化し、再発防止策(手順変更・設備改善)に反映します。作業手順書へ都度追記し、同じミスが発生しないようにすることで、徐々にミスの種類を減らしていきます。

9. 現場内コミュニケーションの強化

指示のあいまいさ、情報伝達ミスは「認知エラー」「判断エラー」の発生原因となります。朝礼や申し送りの質を上げ、作業者同士での「言葉のすれ違い」を防ぎましょう。

10. KPI化で対策の効果を“見える化”

「ヒューマンエラー発生件数」「ミスのカテゴリ別発生件数」「再発率」「教育受講率」などを定量的に管理を行い、改善会議を定期的に行います。定期的に振り返ることで、改善の質も向上します。記録は紙に行うのではなく、電子帳票に入力していくことで効率的に”見える化”を

ヒューマンエラーを減らした成功事例

東日製作所様

株式会社東日製作所は1949年創業、トルクレンチなどのトルクツールの製造・販売を行っている企業です。部品を計測するデジタルノギスから、電子帳票へBluetoothを通して測定値を自動入力する運用により、測定漏れを防ぐことに成功しています。同社 筑波工場では、チェックシートの標準化を行い、測定抜け・漏れがなくなったことで別の組立工場からの品質に関するクレームが減少した、と話されています。帳票電子化によって測定漏れ防止につながったお客様事例ですが、わかりやすく要約したA4の資料をご用意しています。他にどのような導入効果があったのかをご紹介しておりますので、ぜひダウンロードしてみてください。

ITツールの導入によるヒューマンエラー対策

ヒューマンエラーは、どの現場でも起こり得る課題です。だからこそ、「仕組み」で防ぐことが重要です。当社では、チェックリストのデジタル化記録内容の集計効率化を支援するツール「XC-Gate(エクシーゲート)」を提供しています。「XC-Gate」は、紙の帳票をデジタル化し、チェックミスや記録漏れを防ぐことで、ヒューマンエラーの削減と業務効率化を同時に実現します。

「XC-Gate」で行えるヒューマンエラー対策の例

  • チェックリストや作業記録の電子化
  • ダブルチェックや承認フローのシステム化
  • ヒヤリ・ハットの記録・分析
  • ヒューマンエラーの発生状況の見える化

「XC-Gate」は、Excelで簡単に電子帳票を作成することができ、紙帳票のイメージそのままを電子化することができます。お客様の業務に寄り添った様々な機能をご用意しておりますので、まずは自社に合うかどうか、製品カタログでご覧ください。

まとめ

ヒューマンエラーは、環境・仕組み・教育の課題から引き起こされます。ヒューマンエラー対策は個人の努力だけでなく、組織全体で取り組むべき課題です。対策を10個挙げましたが、自社の中で実施できることから1つずつ取り組んでいきましょう。

Facebookでシェアする
はてなブックマークでシェアする
コメント

0

コメントを残す

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です
コメントは弊社で確認し、承認後、お名前とコメントが掲載されます。
不適切と判断した場合は掲載されないことがございます。

ページトップへ戻る