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KY活動とは
KY活動とは、建設工事や製造などの作業者が、職場・現場で発生する可能性のある全ての事故・災害を未然に防ぐために事前に行う活動のことです。
「危険(KIKEN)」のK、「予知(YOCHI)」のYとローマ字の頭文字を取って「KY活動」と呼ばれています。KY活動と似た活動にKYT=危険予知訓練というものがあり、こちらは事故や災害を未然に防ぐことを目的として、その作業に潜む危険を予測して指摘しあう訓練です。
KY活動は主に建設業や製造業の企業・グループで行われている活動で、作業者が安心・安全に業務を行うためには必要不可欠な活動となっています。
本記事では、KY活動の目的や似た用語との違い、共有を行うための報告書の書き方までを徹底解説いたします。
ヒヤリハットとの関連性
KY活動と似た用語として、「ヒヤリハット」があります。ヒヤリハットは、「ヒヤリとする」「ハッとする」を組み合わせた造語で、「危うく重大な事故につながるところを寸前で気づけた(回避できた)」という実際の事象を指します。これに対してKY活動は、実際に起きた、起きていないに限らず事故・災害を未然に防ぐための活動を指します。
そのため、違いとしてはKY活動の中の一種として、現場で発生したヒヤリハットの共有・対策が含まれているということになります。ヒヤリハットの共有方法については本メディアサイトの別記事で詳しく紹介しております。あわせてご覧ください。
ヒヤリハットとは?目的や報告書の書き方、情報共有方法まで徹底解説!
「ヒヤリハット」は、製造業や建設業といった危険を伴う場面や、医療や福祉といった人命に関わる場面で使われることが多いですが、デスクワークであっても事故の原因となりそうな「ヒヤリハット」を経験している方は多いと思います。職場の潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、これを排除・低減するための安全活動の1つが「ヒヤリハット」活動です。
リスクアセスメントとの違い
「リスクアセスメント」とは、現場で災害・事故につながりそうなリスクを洗い出し、リスクレベルの評価を行って危険度・優先度を設定し、リスクの低減するための取り組みを検討する手法です。リスクを「重大性」「可能性(頻度)」で見積ってその数値からリスク評価を算出し、数値化されたリスクに対して優先度を決めることができるようになります。KY活動は現場の作業者それぞれがリスク対策の目標を立てて実行していくもので、一方リスクアセスメントは職場全体でリスク評価の高いものから対策を立てて実行していくもの、という違いがあります。
KY活動の例
職場・現場で発生する災害は、「うっかり」「見間違い」「教育不足」「ルールを無視、省略」などのヒューマンエラーが発生源となっていることが多いです。このヒューマンエラーをなくすための施策を検討・実行して、危険予知活動につなげていく必要があります。例えば、「うっかり」「見間違い」を減らす施策として、名称と状態を声に出して確認する「指差し呼称」「指差呼称」はKY活動の手法として多くの現場で用いられています。
3 指差呼称の効果
1994年、財団法人(現、公益財団法人)鉄道総合技術研究所により、効果検定実験が行われました。同実験によれば、「指差しと呼称を、共に行わなかった」場合の操作ボタンの押し間違いの発生率が2.38%であったのに対し、「呼称のみ行った」場合の押し間違いの発生率は1.0%、「指差しだけ行った」場合の押し間違いの発生率は0.75%でした。一方、指差しと呼称を「共に行った場合」の押し間違いの発生率は0.38%となり、指差しと呼称を「共に行った」場合の押し間違いの発生率は、「共に行わなかった」場合の発生率に比べ、約6分の1という結果でした。
引用:「厚生労働省 職場のあんぜんサイト」安全衛生キーワード https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo72_1.html
KYサイクル
職場・現場で安全に業務を進めるためにはKY活動を習慣にする必要がありますが、日々の業務と一体化させて取り組むことで定着化につながります。業務のサイクルを業務前・業務中・業務後の3つに分け、実践していくことを「KYサイクル」と呼んでいます。
- 業務前…点呼、準備体操、始業前点検、KYの共有
- 業務中…指差し呼称、巡視、安全パトロール
- 業務後…片付けの徹底(5S)、終業時の確認・報告
普段の業務の中にこれらを組み込むことで、作業者全員が危険回避の意識を持ちながら業務を遂行できるようになります。
KY活動の記録(KYシート)の書き方
KYシートの項目
KYシートは、各社で作成されておりレイアウトは異なりますが、基本的な項目は同じで現場名称や作業名称、危険のポイントとそれに対応する対策、リスクアセスメントの評価などが記載されています。
KYシートは紙に印刷して現場に配布されて、現場の作業者が記録して安全衛生責任者が回収し、内容のチェック、後日現場へのフィードバックを行うというフローで運用されることが多いかと思います。
KYシートの運用でよくある課題としては、KYシートを書いて終わりで活用ができておらず形骸化している、様々な現場で記録されたKYシートの情報を集計の手間、事務所に戻った後にチェックを行いフィードバックの準備をするなど責任者の業務負荷の増加になってしまいます。業務負荷の増加は体調面にも影響を及ぼし、安全な業務に支障をきたしてしまうため、KY活動が本末転倒となってしまいます。
これらの課題は、KYシートを電子化することで解決することができます。
KYシートを電子化するメリット
共有・集計の高速化
現場でKYシートを記録して保存すると、パソコンやタブレット、離れた場所からでも確認することができるようになり、データだけを出力することもできるので情報共有および集計を効率的に行えるようになり、責任者の業務負担軽減につながります。
リスクアセスメントの自動算出
重大性、可能性を1~3点で点数を付けますが、数値が入力されるとリスクの見積りが自動計算され、数値に応じて評価(優先度)も自動で表示されるため、計算の手間が不要になります。
KYシートへ該当箇所の写真貼付
電子化されたKYシートには、文字や数値だけではなくタブレット・スマートフォンのカメラを用いて写真撮影・貼付をすることも可能です。危険と思われる箇所を現場にいない関係者、責任者、今後作業に携わる作業者へ明確に伝えるために視覚情報を付け足すことで、KY活動の具体的な課題や問題を共有でき、解決策をスムーズな議論に貢献します。
まとめ
KY活動・KYシートで現場に携わる作業者の気づき・意識から危険を事前に察知し、対策を立てて早期に取り組む必要があります。
記録して終わりにするのではなく、記録された内容を迅速に共有し、現場の安全確保につなげられるようにKYシートの電子化をお勧めいたします。
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