現場で記録される作業日報や点検チェックシートなど、現場帳票を電子化することのメリットはたくさんあります。過去の記録をすぐに検索できたり、リアルタイムに作業進捗を確認できたりと、記録をデータ管理できる効果は非常に大きいです。
ですが、いざ帳票を電子化をしようとすると、実際に運用に至るまでに様々な課題に直面し、頓挫してしまうこともしばしば。
本記事では、運用までの準備で成功しやすいパターンと、つまづきやすいポイントを回避する方法についてご紹介します。
目次
電子帳票を本運用するまでにするべき準備
どんなに便利なツールであっても、導入していきなり現場で使うのは至難の業。実際に電子帳票を使っているユーザーの皆様も、実際の運用がスタートする前に様々な準備やテスト運用をされることが多いです。上のスケジュール例では、実際に帳票電子化を成功させた様々なユーザーの事例を基に、運用を軌道に乗せるための要素をまとめました。
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準備その1:運用目的や範囲、方法を明確にする
目標の設定
当たり前といえば当たり前ですが、意外と難しいのが帳票電子化の目標設定です。今使っている紙の帳票を電子化することでどんな課題を解決したいのか、何を実現したいのかを改めて整理しておきましょう。目標が明確になることで、運用までに準備すべき内容や範囲を決めやすくなります。
例1)ラインの生産進捗を、事務所からでもリアルタイムに把握できるようにする
例2)ロット番号から製造記録をいつでもすぐに検索できる仕組みを作る
電子化の対象となる業務の設定
目標が決まれば、続いてそれに対してどの作業で使う帳票を電子化していくのかを決めていきます。必ずしも初めから現場の紙をゼロにするのが正解とは限らず、電子化することでやりたいことができるか、課題解決に直結するかを重視するのがポイントです。
また、目標のレベルが高い場合には、無理して最初からそこを目指さず、何段階かのステップに分けてスケジュールを立てていくのも効果的です。
例)製造全工程での作業進捗を、製造番号でリアルタイムに管理したい
ステップ1:加工工程での加工日報を電子化し、運用にのせる
ステップ2:組立工程、検査工程で、それぞれの帳票を電子化し、運用にのせる
ステップ3:各工程の作業実績を製造番号で紐づけ、進捗管理画面に反映させる
推進役のアサイン(任命)
継続的に運用していくためには、実際に電子帳票を使う現場の協力が不可欠です。現場側で電子帳票のツールに詳しい推進役がいることで、他の作業者が操作で困ったときに助けたり、現場からの要望を帳票や運用方法に反映できるようになるなど、運用の定着までに欠かせない存在です。
準備その2:運用準備
電子化する帳票、しない帳票の仕分け
用途が固まれば、実運用で電子帳票に置き換えていく帳票を決めていきましょう。せっかくなら現場の紙を一切なくしてしまおう!というのもモチロンいいのですが、まずは記録のデータ化を優先したい帳票に絞り込んでいくことで、最初の帳票作成やテスト運用の負担を減らすことができます。迷ったときは「無理せずできるところから」のスタンスが継続のコツです。
帳票の作成
運用開始前の一つの大きな山場が帳票作成です。電子帳票のツールでもユーザー自身が帳票作成できるもの、メーカーが画面を個別開発するものなど様々ですが、いずれのパターンでも現場で使いやすいかどうかを念頭に置いて帳票を準備していきましょう。
実際に入力する人が紙のレイアウトに慣れている場合は、紙のレイアウトをそのまま電子化できるツールを使うことで、導入に対する現場の抵抗感を抑えることにつながります。
運用マニュアルの準備(可能であれば)
作成にエネルギーは必要ですが、運用に合わせた独自のマニュアルを準備する場合もあります。「これさえ見れば操作方法で困らない」という現場作業者に向けたもの、帳票の作成や管理を行う人に向けたもの、などレベル別で準備できれば、運用定着の一助となるほか担当者の異動があった場合でも円滑に引継ぎを行うことができます。
準備その3:テスト運用&運用改善
現場の人への教育
端末類・帳票などの準備が整えばいよいよ本導入に向けたテストの段階に入ります。現場の人に向けた教育で最も大事なことは、実際に使う人に「これなら使えるな」と思ってもらうことです。1回限りの教育ですぐに定着させるのは難しいため、朝礼や定例ミーティングなどで継続的に教育を行い、操作に苦戦している人がいれば丁寧にフォローすることが重要です。
現場での運用テスト&フィードバック
様々な準備を経て、いよいよ現場でのテスト運用です。導入目的がきちんと達成できるかを見るのはもちろんですが、ここではテストの期間をしっかり区切ることが非常に重要です。「現場がしっかり慣れたタイミングで本運用に移行したい」という気持ちもあるかと思いますが、それを待っているとなかなか本運用はスタートできません。しっかりとスケジュール感を現場とも共有し、①導入目的が達成できるかの確認、②運用面で不便な点の洗い出し&改善を常に意識して行っていきましょう。
実際に電子帳票を現場で使ってみると、電子帳票の中でも紙と比べて使いやすい点、そうでない点が見えるようになってきます。現場からのフィードバックにしっかり耳を傾けることで、改善のヒントが見つかるかもしれません。
フィードバックを基に帳票や運用を改善
安心して現場で電子帳票を使ってもらうため、帳票の使い勝手に関する現場からのフィードバックはできる限り帳票に反映していきましょう。現場のお困りごとはスピード感をもって解消していくことがポイントです。電子帳票ツールが帳票をユーザー側で修正できるものであれば、テンポを落とさずに帳票の改善サイクルを回していくことが可能です。
運用定着を成功させるポイント
周りを巻き込み、協力者を増やす
プロジェクトとして帳票電子化を成功させるのであれば、孤軍奮闘はNGです。可能であれば、現場で推進役になってくれそうな人には導入検討の早い段階から声をかけ、協力を取り付けられるのがベストです。
現場の人にとって、他人事にならないようにする
電子帳票をはじめ、ITツールの導入は現場からすると煩わしく感じられやすいものです。テスト運用にあたっては、しっかりと期間を決めて、それ以降は必ず電子帳票に切り替えるという認識を朝礼などで繰り返し共有しつつ、現場からの要望にはできる限り素早く対応し、「自分たちの要望はちゃんと運用に盛り込まれるんだ」と現場の人々にも思ってもらえれば、より建設的な意見も出やすくなるでしょう。
使う人が便利だと感じられるようにする
全体を管理する立場・現場で入力を行う立場では、抱えている課題も当然ながら異なります。管理者だけがデータ化でメリットを得るのではなく、帳票の使用方法に関してできる限り現場の人にとってのお困りごとも解決できるような運用が理想です。
帳票の電子化は、普段できないような帳票レイアウト変更のチャンスでもあります。例えば、下図左側のように始業時・終業時の点検項目が混在していて見づらい場合には、点検タイミングごとに入力欄を整理するだけでも点検忘れが起きづらくなります。
自動計算機能など、作業者に入力の手間を感じさせない運用も有効です。帳票に生産計画数や生産数、不良数などを入力すると自動で達成率や歩留まりが計算されるようにすることで、従来担当者が電卓を使いながら行っていた計算や集計の手間をなくすことができます。
他にもカメラを使う検査・点検作業では、検査対象を撮影してから印刷し、その後帳票に貼り付けていた作業がタブレットのカメラで撮影した後にそのまま帳票へ添付できるようになり、移動や印刷にかかる時間を短縮できるなど、紙での運用で発生していた作業のムダを削減し、現場の負担を軽減することができます。
Excelから画面設計ができる現場帳票電子化システム「XC-Gate(エクシーゲート)」
XC-Gate(エクシーゲート)とは
「チェックシート」「日報」といった記録用フォーマットを電子化し、タブレットからの入力・データ化を可能にする現場帳票電子化ソリューションです。
XC-Gateではユーザーが普段使っている帳票のExcel原本から電子帳票を作成できるので、帳票のイメージは崩さず、そのままタブレットで入力できるようになるほか、入力データの自動集計・検索機能も多く、帳票全般のデータ見える化が可能です。
また、Excel上ですぐに帳票フォーマットの修正ができるため、文字やボタンのサイズを使いやすく修正したり、選択式の項目はプルダウン、トグルボタン、ラジオボタンから現場のニーズに合ったものを選んだり、といった使い勝手にあった修正を即座に行い、再度現場へ展開することができます。その特徴を生かして、テスト運用時に出てきた現場からの要望をすぐに反映できる点も、運用上の大きな強みとなっています。
XC-Gate 製品サイト:https://product.technotree.com/xc-gate/
まとめ
今回は、本運用に向けた取り組みの例をご紹介いたしました。つまづきやすいポイントに気を付けつつ、導入推進する立場の方、実際に現場で使う方双方にとってメリットのある帳票電子化を実現しましょう!
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