工場や倉庫、建設現場などにはさまざまな用途の機械があります。それら機械の一つである、クレーンは重い荷物を持ち上げたり移動させたりする際に活躍し、製造業を中心に広く使用されています。しかし、クレーンは非常に便利な反面、不具合や故障から重大な事故や災害につながる可能性もあります。そのため、クレーンを安全に使用するためには日々の適切な管理が必要になります。
そこで本記事では、クレーン検査の種類や目的、重要性を改めて確認するとともに、帳票電子化ソリューション「XC-Gate(エクシーゲート)」を活用して、どのように検査業務を効率化できるのかをご紹介します。
クレーン検査の解説から効率的な検査業務のアドバイスまでを本記事でご紹介し、安全なクレーンの使用につながる検査業務のヒント をお届けしますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
クレーン検査とは?
クレーン検査とは、クレーンを安全に使用するために構造、装置、部品などが法令で定められた基準に適合しているかどうかを確認するための検査です。クレーンは重量物を吊り上げて運搬する機械であり、故障や不備から重大な事故につながる可能性があるため、定期的な検査が法律で義務付けられています。
クレーン検査といっても、さまざまな種類の検査があり、検査項目や頻度はクレーンの種類や規模、使用状況によって異なり、いくつかの検査区分に分かれています。
なぜクレーン検査が必要なのか
クレーンは日常的に高い荷重を扱う設備であり、使用を続ける中で徐々に部品が摩耗したり、潤滑油が切れたりといった経年劣化が発生します。
こうした変化を放置しておくと、故障や事故の原因となるため、定期的な検査を通じてリスクを未然に防ぐことが重要です。
また、労働安全衛生法やクレーン等安全規則といった法律に基づいて、事業者は一定の検査を実施する義務があります。法令遵守の観点でも、クレーン検査は欠かせない業務と言えるでしょう。
クレーン検査の主な種類
前段でご紹介した通り、クレーン検査といっても、さまざまな種類の検査があります。それぞれの検査には検査項目や検査のタイミングが異なっています。主なクレーン検査は以下のものがあります。
1.製造検査
クレーンを製造した際に行われる検査です。設計通りに製造されているか、安全基準を満たしているかなどを確認します。
2.設置検査
クレーンを設置した際に行われる検査です。正しく設置されているか、設置場所の環境が適切かなどを確認します。
3.定期自主検査
事業者が自主的に行う定期的な検査です。クレーンの種類や使用状況に応じて、1年以内ごとに1回、1か月以内ごとに1回など、定められた期間ごとに実施する必要があります。荷重試験や各部の点検、潤滑状況の確認などが行われます。
4.性能検査 (クレーン検査証の更新)
一定規模以上のクレーンについて、原則として2年に1回、登録性能検査機関が行う検査です。クレーン検査証の有効期間を更新するために必要となります。この検査では、荷重試験や安定度試験など、より詳細な項目が確認されます。
5.変更検査
クレーンの主要構造部分の変更がある場合に実施される検査です。
(例:つり上げ荷重の変更、ジブの長さの変更など)
6.使用再開検査
長期間使用を停止していたクレーンを再稼働する際に実施される検査です。
このようにクレーンを扱うにはさまざまな点検・検査が必要になります。そして、日々クレーンを使用していく中で必要となる検査について、次の項目でさらに詳しくご紹介します。
定期自主検査とは
労働安全衛生法に基づくクレーン等安全規則により、事業者はクレーン設置した後「定期自主検査」を行うことが義務付けられています。義務付けられている検査は4種類です。それぞれの検査には所定の項目が定められています。この項目では、対象となるクレーン、義務付けられている検査の時期と検査項目についてご紹介します。
点検対象となるクレーン
- つり上げ荷重0.5トン以上の全てのクレーン
- つり上げ荷重0.5トン以上の全ての移動式クレーン
- その他クレーン等安全規則の適用を受けるデリック、エレベーター、建設用リフト及び簡易リフト
年次定期自主検査
クレーン設置後、1年以内ごとに1回、所定の項目について定期的に行う自主検査のことをいいます。検査を行った後、その記録は3年間保管しなければなりません。1年に1回の重要な検査になるので、点検業者に依頼する場合もあります。
▪年次定期自主検査項目
1. 構造部分、機械部分、電気部分の異常の有無
2. ワイヤーロープまたはつりチェーンの異常の有無
3. つり具の異常の有無
4. 基礎の異常の有無
5. 荷重試験(定格荷重に相当する荷重の荷をつって、つり上げ・走行・旋回などの作業を行う試験)
月次定期自主検査
クレーン設置後、1か月以内ごとに1回所定の項目について行う自主検査のことをいいます。年次定期自主検査と同様に、月次定期自主検査の記録も3年間の保管が必要になります。
▪月次定期自主検査項目
1. 過巻防止装置などの安全装置、過負荷警報装置などの警報装置、ブレーキ及びクラッチの異常の有無
2. ワイヤーロープ及び吊りチェーンの損傷の有無
3. フック、クラブバケットなどの吊り具の損傷の有無
4. 配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラの異常の有無
5. メインロープ、レールロープ、ガイロープの緊結部分の異常の有無とウインチの据え付け状態
作業開始前の点検
クレーン作業の開始前に行わなければならない点検です。毎日行う点検のため基本的な点検内容になっていますが、毎日作業前にきちんと点検を行うことでクレーンの故障や不備にいち早く気付くことができる大切な点検といえます。
しかし、万が一トラブルが発生した際に点検実施についての重要な資料になることや、点検の抜け漏れ防止、点検の平準化といった観点から記録を一定期間保管しておくことをおすすめします。また、点検記録を蓄積していくことで、設備状態の変化を把握したり、将来的な予防保全のデータとして活用することも可能です。
▪作業開始前の点検項目
1. 巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能
2. ランウェイの上及びトロリが横行するレールの状態
3. ワイヤロープが通っている箇所の状態
暴風後等の点検
屋外に設置されたクレーンの場合は、暴風や地震が発生した後にクレーン作業を行う際に必ず点検を行う必要があります。具体的には以下の風、地震が発生した場合に点検が必要です。
- 瞬間風速が毎秒30メートルを超える風が吹いた後
- 震度4以上の地震が発生した後
暴風後等の点検の記録は年次・月次定期自主検査と同様に3年間の保管が義務付けられています。
▪暴風後等の点検項目
1. 巻過防止装置、ブレーキ、クラッチ及びコントローラの機能
2. ランウェイの上及びトロリが横行するレールの状態
3. ワイヤロープが通っている箇所の状態
※暴風後等の点検項目は作業開始前の点検と同じ内容です

クレーン検査における現場の課題
クレーン検査は安全維持に不可欠な作業ですが、実務レベルではいくつかの課題が存在します。
特に多くの現場で見られるのが、検査記録を紙帳票で行っていることによる課題です。
紙に手書きで記録し、点検結果をファイリングして保管する方法は、以下のような課題があります
- 記録ミスや書き漏れが発生しやすい
- 紙の保管スペースが必要になるうえ、すぐに見たいデータが見つけられない
- 点検結果の集計や報告に時間がかかる
- 担当者によって記録の書き方が異なる
こうした課題は、検査の信頼性や効率を下げてしまう要因となります。

電子化で変わる!クレーン検査の効率化
紙による点検記録の課題を解消する手段の一つとして注目されているのが「点検業務の電子化」です。帳票を紙への手書きから、タブレット端末などで入力・管理できるようにすることで、さまざまなメリットを得られるうえに、業務の効率化を実現します。
- 入力ミスを防止できる(プルダウンやチェックボックスの活用)
- 点検記録の一元管理が可能に
- 過去の記録を簡単に検索・参照できる
- 点検後すぐに上長や関係者へ共有可能
- 点検内容の分析・改善にもつながる
業種や設備に応じたカスタマイズが可能な電子化ソリューションを活用することで、クレーン検査における作業負担を大幅に削減できます。
XC-Gateで導入による効果
当社の帳票電子化ツール「XC-Gate」は、クレーン検査をはじめとする設備点検業務に最適なソリューションです。
紙の点検票をそのままのレイアウトで電子化できるため、現場に大きな負担をかけることなく導入できます。また、検査項目ごとのチェック形式や、写真添付、計測機器連携による数値の自動入力、音声入力などのさまざまな機能を活用することで、作業効率の向上と記録の精度向上を両立できます。
さらに、記録データはデータベースとして一元管理され、複数拠点の情報をリアルタイムに確認することも可能です。検査の属人化防止や、報告書の自動出力にも対応しており、安全管理の強化に貢献します。


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まとめ
クレーン検査は安全性を守るうえで欠かせない業務ですが、紙での点検記録には多くの課題があります。こうした課題を解決する手段として、帳票の電子化は非常に有効です。当社の「XC-Gate」は、既存の帳票を活かしながら、現場にフィットする形でスムーズに電子化を実現できます。クレーン検査の記録管理にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。XC-Gate.V3クラウドでは1か月無料でトライアルも可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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